「PRISM™」× KYOTO HAUS ロゴ
ロゴデザイン……MACCIU
加工・制作……毛原 大樹
機材提供……DNP 大日本印刷株式会社
KYOTO HAUSの2つのキーワードである「メディア・ブリコラージュ」「テレパシー」をイメージしてデザインされたこのロゴは、グラフィックデザイナーのMACCIUによるもの。
DNP電子ペーパー「PRISM™」を活用して「KYOTO HAUS」のサインボードを制作した。
「PRISM™」は、曲げたり切ったりすることが可能なフィルム状の電子ペーパーである。
今回サンプルとして提供されたのが、{黒←→白}と明暗が変化するタイプだった。(その他、{青←→白}{赤←→白}{緑←→白}{黄←→白}などの製品がある。)
つまり「PRISM™」は、単色(モノトーン)専用のディスプレイである。
表示モード1(グラデーション)
Fig.1
表示モード2(明滅)
Fig.2
「PRISM™」の興味深い特徴は、表裏で色が反転するということ。例えば、A面で黒のときは裏側にあたるB面では白が表示されている。
街中で見られる「PRISM™」の使用例は平面媒体が多いので、主に片面しか活用されていない状態である。(参考:https://youtu.be/hPg_3h2MJfc)
この表裏反転する特性を同一平面上に配置し、よりインパクトのある「KYOTO HAUS」ロゴの見せ方をテストする。
レーザーカットパターン(青線が切取り線)
①中央で切断
②二枚に切り離す(ロゴ側、背景側)
③ロゴ側はA面、背景側はB面を表に向け重ねる
Fig.3
アイデアスケッチ
Fig.4
電極端子は一枚のシートの両端に配置された計二箇所である。どちらもひとつの制御装置から信号(※)が送られている。中心で切断したとしても、この電極さえ繋がっていれば明滅を繰り返すことができる。
※信号はとても簡潔である。極性(+ -)を逆転反復させることで表面を変化させている。全ての制御は(+15v, 0v, -15v)の反復とそのタイミングによって二種類のモードを表現している。
表示モード1(グラデーション)→片方の端子への反復開始を遅延させる
表示モード2(明滅)→両方の端子の反復開始を同時におこなう
制御装置 (主電源、M,モードボタン 、S,スピードボタンがある,input:DC5V)
Fig.5
配置テスト
表示モード1(グラデーション)を設定
Fig.6_1
表示モード2(明滅)を設定
Fig.6_3
Fig.6_2
切り離された場合、表示モード1(グラデーション)に設定しても“グラデーション”現象は起こらず、それぞれ明滅が起こる。しかし、重ねてみると、それぞれの端子へ送信するタイミングが違うためこのように一見不規則なパターン(Fig.6_1)が表現できる。
展示テスト
Fig.7
展示形態は、あえて筐体やフレーム(額縁)を用意せず、「PRISM™」の持つシンプルな構造を鑑賞者に見て触ってもらい、薄さやしなやかさと共にインパクトのあるヴィジュアル(ロゴ)を鑑賞者に体感してもらう展示とした。
また、レーザーカッターを用いることで自由な切断・加工ができるという、本来の液晶ディスプレイが持つイメージとは縁遠い特徴を知って驚いてもらうため本展覧会のクラフトコーナー(※)にて展示した。
鑑賞者からは、これはどういう仕組みなのかという質問が毎回のように寄せられた。
※KYOTO HAUSの設備、工作機で制作した作品群を展示するコーナー
無垢な状態の「PRISM™」と対していると、いろんなアイディアが湧いてくる。
今回も、あらゆるアイデアをどこに着地させるかで、意見が別れた。その中には、「PRISM™」を音声信号と直結させ、音を視覚化させるデバイス、その他も様々なプロダクトや彫刻作品などのアイデアが多く挙がった。実は今回のプランと最後の最後(カットする直前)まで迷ったものが、ランプシェードのプランである。「PRISM™」で電球(発光体)を囲む実験を行ったところ、電球が発する光の反射率をある程度制御できることがわかったので、うまく行けば「PRISM™」にしか照らせない絶妙な灯を形にできるのではないかと期待値があがった。
そんな中、このサインボードは、ある意味もっともシンプルな回答であるといえるが、現状でもっとも「PRISM™」が社会に浸透していくのは平面媒体なのであろうという観測から平面としての活用方を検討しつつ「PRISM™」が持つ特性を最大限活かしたものにしようと考えた結果がこのような展示になった。
▶再生ボタンを押すと展示場所にジャンプできます。