Signed Distance Field by EPS

KYOTO HAUS (H/K/N)……映像

機材提供……DNP 大日本印刷株式会社


3時間30分 (10000秒) の映像作品である。一瞬立ち止まって観賞した程度では、印刷物による平面作品だと勘違いされるだろう。

しかし、人間の知覚では目の錯覚として捉えられてしまうほど微妙にしか変化しないこの動きは、たとえ目を凝らしてみても錯視を利用した模様にしか見えないだろう。

常にピクセルが更新されていくLCD型ディスプレイとは異なり、変化した部分だけピクセルが更新されるEPS(電子ペーパー)でなければ、このような現象を起こすことはできなかった。

パターンの変化

Fig.1 (0秒)

Fig.2 (5000秒)

Fig.3(10000秒)

10000秒をおよそ60秒に短縮したGIF画像(見つめてください)

Fig.4

3時間半ものあいだ、画面の前で鑑賞するものは当然いなかった。これは、ほとんどの鑑賞者にとっては“静止画”としてそこに存在している作品だった。

展示としてはむしろ、映像(動画)だということに気がつかれない方が都合がよい。これが、普通の液晶ディスプレイだったとしよう。その時、それはただの“一時停止“された“映像“だとおもわれて終わってしまう。

EPSであれば、たとえ脳が動いていることを認知できなくても、これを印刷物(紙)として認識するので、不自然にならない。

一通り、他の作品を観賞し終わったときに、再び目に入った模様がさっきと違うことに気がついた鑑賞者だけが、思いがけず映像体験をする作品なのである。

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